陶芸と、星占い、タロットカードを、職業にしています。体験をもとにした、心、魂の世界についてのエッセイです。


by fufu6k
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ミカエル Ⅰ

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 前々章で書いた、女性のチャネラーと、彼女に現われる霊的存在について、きちんと述べておこうと思う。
彼女は、10年間ともに暮らした私の恋人の知り合いで、芸能関係の仕事をしており、名前を佳川紘子という。私より10歳年上だが、子供がいないせいか、とても若々しく、私は年上の女性というより、同世代の人のような感覚で、親しく友達づきあいをしていた。

 恋人と別れたとき、大騒動があった。若い女が彼に近づき、彼の心を虜にした。私は私で、別の男性に気持ちが傾いていたが、そうかといって、恋人が他の女性にからめ取られていくのを、黙って見ているわけにはいかなかった。

 その頃、彼は広いマンションを借り、寝泊りができる事務所として使っていたが、女はいつのまにか、そこに入り浸っていた。

 ある晩、彼の事務所で、私は彼女と対決した。そうするつもりはなかったのだが、押さえていた感情が突然爆発した。持っていたポシェットを、テーブルに叩きつけ、私は怒鳴った。
「あんた、出て行きな!」
 自分でも驚くほどの、やくざな口調だった。

 女はしたたかだった。私の罵声にびくともせず、視線を落としたまま、唇を曲げて、にんまり笑った。般若の顔に見えた。彼は凍りついたように、横を向いていた。

 女の笑いを見た瞬間、私は負けたと思った。もう、そこにいることはできなかった。私はポシェットをひったくり、部屋を出た。この一部始終を、佳川紘子は見ていた。紘子さんはその晩、偶然、同席していたのだ。

 私の後を追って事務所を出た彼女は、今夜はうちに泊まるようにと言ってくれた。東中野の駅から程近いアパートに、彼女は、俳優をしているご主人と暮らしていた。私は言われるままに、彼女の家に行った。気が動転して、地に足がついていなかった。怒りも悲しみも恐怖も、心の中にあったが、頭の一部がしびれたようになり、どこかぼんやりとしていた。

 それからの数日間、紘子さんはほとんどつきっきりで、私を見守ってくれた。家に戻った私は、大泣きし、仕事も手につかない有様だったが、彼女はそんな私を励まし、仕事に向かわせた。彼と別れ、一人で生きていかなければならないのだから、仕事は何より大切だった。

 数週間後、彼から完全に離れるために、私は引越しをした。紘子さんは、部屋探しにも、引越しにも、つきあってくれた。荻窪の四面道に部屋を借り、新しい生活が始まった。私が落ち着いたのを見届けて、紘子さんも、平常の生活のペースを取り戻した。私は、彼女の生活を、相当にかき乱してしまっていたのだ。
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by fufu6k | 2009-04-10 00:38