陶芸と、星占い、タロットカードを、職業にしています。体験をもとにした、心、魂の世界についてのエッセイです。


by fufu6k
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ミカエル Ⅲ

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 二人が出会ってからしばらくして、紘子さんの身に、さらに大きな異変が起こった。
 その異変の少し前から、彼女は右腕に鈍い痛みを感じていた。痛みはしだいに強く、腕はどうしようもなく重くなり、ついには、腕が肩から抜けるのではないかと思うくらいの、耐え難い鈍痛になったという。癌か何か、恐ろしい病気にかかったのではないかと不安になり、明日は医者へ行こうと思っていた、その日。

 いきなり彼女の右腕が、前後左右にぶらぶら揺れ出した。彼女の意思とは関わりなく、別の生き物のように、右腕が揺れる。紘子さんは慌てて、左手で自分の右腕を抑えた。な、なんだ、これは……!!! 驚きと恐怖で、頭が真っ白になった。

 必死で抑えても、右腕の揺れは止まらない。右腕に力を入れて、動きを止めようとすると、腕が激しく痛む。動かすまいとすると、それに抵抗するかのように、揺れは大きくなる。

(ええい、どうとでもなれ!)
 どうしようもなくて、紘子さんは居直るしかなかった。彼女が抵抗をやめたので、腕はのびのびと大きく揺れ始めた……。と、よく見ると、右腕はただ揺れているのではなく、ある一定の動きをしている。あきらかに、何か意味のある動きを。

 紘子さんは、目を凝らした。すると右腕が、何か文字を書いているように見えた。文字……、これは……、そう……カタカナの“ミ”だ……。彼女が“ミ”を認識すると、右腕は嬉しそうに揺れ、そして次の動きに入った。これは……、……カ? そうですよといわんばかりに、腕は大きく揺れ、次の動きに……。これは……エ? そして……次は……、……ル……。

 腕は、再確認させようとでもいうように、これまで書いた、四つのカタカナ文字を、続けて空中に書いた。
 ミ・カ・エ・ル

 ………?!!!

 この時点で、紘子さんは、今まで感じていたのとは別の種類の恐怖に襲われた。
 悪霊! 恐ろしい悪霊にとりつかれた! どうしよう……大変なことになった……!!!

 いてもたってもいられず、彼女は家を飛び出した。今、頼れるのは、霊の世界にくわしいヒデしかいなかった。連絡を取ると、彼女はまっすぐ、彼のもとに向かった。

 取り乱し、わなわな震えている紘子さんを、ヒデは落ち着いて受け止めた。彼は、紘子さんの身に何が起こったのか、わかっていた。勝手に腕が動いて、空中に文字を書いたのは、自動書記というものだと、彼は紘子さんに教えた。“ミ・カ・エ・ル”という文字は、おそらく大天使ミカエルであること、大天使ミカエルとは、非常に位の高い天使であり、神の次ぐらいに偉い存在であること、このような高位の霊が、紘子さんを通して、何かを伝えようとしていること、このことを真摯に受け止め、謙虚さと誠実さをもって対処すべきことなど、彼は理路整然と語った。

 ヒデが冷静なので、紘子さんもしだいに落ち着きを取り戻した。どうやら、祟りをする幽霊や恐ろしい悪魔に取りつかれたのではなさそうだ。これからどうなるのか、皆目見当もつかないが、ともかくこれは悪いことではないらしい。

「大天使ミカエルか。すごいな」
 ヒデは少し頬を染めて言った。これから僕達、頑張らなきゃならないね。
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by fufu6k | 2009-04-13 23:33