陶芸と、星占い、タロットカードを、職業にしています。体験をもとにした、心、魂の世界についてのエッセイです。


by fufu6k
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 家の脇に、藤の木があります。
 ここに越して来たばかりの頃は、細く、たよりない若木でしたが、今やがっしりとした大木となり、薄紫の花の房をたくさんつけます。
 野生の藤で、どこからか種が飛んできて、ウチに根を下ろしたのです。
 
 今から12~3年前、知り合いのおばさんと雑草を刈っているとき、この木を発見しました。それが藤だと知らなかった私は、邪魔な雑木と思い、引っこ抜こうとしました。
「これは藤だよ。とっといたほうがいいよ」
 おばさんがそう言ってくれたおかげで、ウチの藤は、命拾いをしたのです。

 命を救われた藤は、その後、空恐ろしいほどの生命力を発揮し、どんどん大きくなりました。

 藤の蔓は、巻きつくものを求めて、どこまでも伸びていきます。家の壁を這い、建物の狭い隙間に入り込み、いつのまにか、ぐるぐると雨どいに巻きついて、二階のベランダに侵入します。外壁とベランダのわずかな隙間から、柔らかなグリーンの葉をつけた蔓が顔を出しているのを見つけたときは、背中がぞくっとしました。

 巻きつくものがみつからないと、藤蔓は際限もなく地を這います。気がつくと、家を半周しています。放っておいたら、家を何周もしそうで、驚くというより、ほとんど危険を感じました。こいつに家を壊されるんじゃないかと思ったのです。

 友人に愚痴をこぼしたら、
「藤は家運を落とすって言うわよ」
と、言われました。藤をとっといたほうがいい、と言ったおばさんの顔を思い浮かべ、恨みたくなりました。

 蔓は太く、丈夫で、断ち切るのに骨が折れます。汗だくになって、藤と格闘し、切った蔓をいい加減に投げ捨てておいたら、なんと! 寸断された蔓から、地中深く、根が伸びていました……。切られても、切られても、蔓は枯れないのです。それどころか、地面にころがった蔓の切れっぱしから、いつのまにか、青々とした葉っぱまで生えているのです。
 この光景を見たとき、私は本気でこわくなりました。オカルト映画に出てくる悪魔を連想したのです。 

 春先に降った、湿った重たい雪のせいで、藤は、二股になった幹のいっぽうが、ぽっきりと折れてしまいました。これでこの木も終わりかと、ちょっと残念な気がしましたが……。

 連休が過ぎた頃、ベランダから下を見ると、なんと、折れて垂れ下がった太い枝は、葉を茂らせ、蔓を伸ばし、薄紫の花の房が、下の川辺に向かって、スカートの裾を広げるように、たくさん風に揺れているではありませんか!

 折れはしても、残ってつながっている部分から、どんどん栄養分を吸い上げて、藤は、前よりも豪華に、花の盛りを生きているのです。
 もう、開いた口がふさがりません。

 この美しい植物は、悪魔なのか、それとも初夏を彩る自然の女神なのか。e0172753_1355696.jpg

 
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by fufu6k | 2010-05-18 01:49