陶芸と、星占い、タロットカードを、職業にしています。体験をもとにした、心、魂の世界についてのエッセイです。


by fufu6k
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震災 Ⅱ

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 食事をとる前に、仕事先に携帯で電話をかけたが、つながらなかった。東京の叔母と妹が心配だったので、初めに叔母、次に妹に電話したが、やはりつながらなかった。何のための携帯なんだ! と腹が立った。こんなときこその携帯でしょうが!

 ご飯を食べ終わったころ、妹から携帯に電話がかかった。こちらからはかけられないけれど、受信はできるようだ。
 無事を確認しあい、お互いにやや気持ちが高ぶっているので、しばらく喋った。停電なので、やることがなく、おしゃべりは楽しかったのだ。東京の家の、門の一部が壊れたが、あとはみな無事だと言っていた。妹と話をしているとき、ときどき小さな余震があった。こっちも揺れてると妹は言い、船に乗ってるみたいとつぶやいた。
 テレビの音が聞こえたので、テレビ見れるの? と聞くと、「見てるよ。あっ、すごい、すごい、津波が、水がもくもく、もくもく……、あっ、船が、船が……」と、一人で興奮していた。なにやら大変なことが起きているらしいことはわかった。
 電池の残量が気がかりだったので、ほどほどにして電話を切った。妹からの電話の直後に、叔母からも電話があり、無事を確かめ合った。

 ストーブの火をみつめながら、今夜をどうして過ごそうかと、思案しているとき、都内に住む友達からメールか来た。仕事場から自宅まで、普段は車で15分程度のところが、一時間半もかかっていると書いてあった。渋滞で、私は缶詰状態です……。
 地震で、止まっている電車があり、それで道が混んでいるのだと思った。送信時間を見たら、そのメールは、友達が送ってから2時間半もかかって、私の携帯に届いたことがわかった。

 そのメールのあと、その友達とのメールのやりとりは、スムーズにできた。彼女はやっとの思いで家にたどりつき、どこかエキサイトした気分で、すごい勢いで晩御飯を食べ、ひと息ついて、ことの重大さをあらためて感じ、こわくなったそうだ。
 闇の中にいるので、何もすることがないとこぼすと、「ははは、ローソクじゃ、本も読めないね。ラジオはないの?」と言ってよこした。ラジオは押入れの奥だ。それに、ラジオに使う電池の買い置きがない。

 9時近くになって、布団に入った。余震がときどきあるので、いつでも逃げられるように、服を着たまま寝ようかと迷ったが、結局、下着の上にパジャマを着た。貴重品をバッグに入れて、懐中電灯、携帯とともに、枕元に置いた。すっかり災害モードになっていた。

 くだんの友達が、今夜は夫も息子もよそへお泊りだと書いてきた。交通マヒで家に帰れないのだ。心細いのだろう、彼女は続けてメールをよこした。
 お台場が燃えてるらしいよ、と書いてあったので、びっくりして、携帯のヤフーを見た。都内13箇所で火災発生というニュースが出ていた。、世界で五番目の大地震という文字も躍っていた。……なんですって!

 ヤフーしか情報源がないのがもどかしかった。携帯をワンセグにしておけばよかったと思った。それにも増して、電池で充電する充電器を買っておけばよかったと思った。電話もテレビもパソコンも使えないのだから、外界とつながる手段は、携帯しかないのだ。

 深夜0時近くなっても、断続的に防災無線の放送があった。こんな時刻まで、何度も防災無線が聞こえるのは、異常と言うしかない。
 夕方は、市内全域停電、と言っていたが、この時刻になると、山梨県全県停電、と伝えていた。「福島原子力発電所の安全確認のため、全県で停電が発生している、停電にともない、断水の恐れもある」「東北地方に大きな災害が起きたため、停電が発生している」といった内容を、繰り返し伝えていた。
 地震の震源について、三陸沖と言ったり、福島沖と言ったりしていた。防災無線は、まわりの山に音がこだましたりして、聞き取りにくいのだが、地震の場所について、いくつかの地名を言っていた。その時点では、まさかこれほど広範囲にわたっているとは知らなかったので、市の職員のミスかもしれないと思った、

 とは言え、ことの重大さは、じわじわと心に伝わってきた。妙に現実離れした感じもした。悪夢のようだ。
「なんか、日本沈没の映画みたい」そうメールすると、友達からすぐに返事が来た。
「そう、私もそう思う。……怖いね」

 うとうとしていると、メールの着信音が鳴った。午前2時半だ。別の友達からだった。彼は、都内の電車がすべて止まっていること、会社から自宅まで、歩いて帰ったことを書いてきた。1時間40分かかったけれど、自分はまだ近いほうだと、言っていた。
 ヤフーの交通情報を見ようとしたが、”接続できません”という表示が出た。
 彼からのメールは、発信から着信まで、なんと5時間もかかっていた。

 余震がおさまり、やっと眠れたが、明け方、強めの余震で目が覚めた。東北地方の余震がまた始まったかと、憂鬱になった。翌日わかったことだが、それは長野が震源の地震だった。
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by fufu6k | 2011-04-13 02:42