陶芸と、星占い、タロットカードを、職業にしています。体験をもとにした、心、魂の世界についてのエッセイです。


by fufu6k
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大天使ミカエル

                      占いのホームページ SPACE・和



 大天使ミカエル……、自動書記……。
 「何、それ?」と思う人も多いだろう。
 神秘かぶれ? 占いのサイトだから、そういう話が出てきたって、おかしくないか……。

 28年前、10歳年上の友達で、仲良くつきあっていた紘子さんに、突然、大天使ミカエルと名乗るものが憑依したとき、私も初め、「何、それ?」と思った。
 当時、紘子さんは42歳、更年期障害で、情緒不安定になったのか、人知れずためていたストレスが爆発して、神経症になったか。電話で紘子さんから、大天使ミカエルが現われた顛末を聞きながら、私の心は冷たい反応しか示さなかった。
 半ば頭がおかしくなっている友人を、小さな子供をあやすようにあしらう。私の態度は、そのようなものだった。
「そんな馬鹿なこと、あるわけないでしょ!」
 そう言い放ちたい気持ちを抑え、小さく相槌を打ちながら、どうやってこの電話を終わらせたものかと考えていた。

 紘子さんが私に電話をかけたのは、大天使ミカエルが現われ、いろいろな神秘現象が起こり、大騒動を乗り越えて、一息ついたころ、ミカエルの登場から半月以上はたったころだ。ミカエルが現われてから、その電話まで、私はまったく彼女と会話をしていなかった。もし、私がミカエル登場の初めから、紘子さんの身近にいて、何が起こっているのかを自分の目で見ていたら、もっとたやすくこの出来事を信じられたかもしれない。
 こういうことが起きたのだと、言葉で説明されても、疑問を抱くばかり。それほど、紘子さんの話は奇想天外だった。

 ミカエルが現われる数ヶ月前、紘子さんは、一人の青年に出会っている。彼女が趣味の延長のような軽い気持ちでやっていた占いのアルバイトを通じて、二人は知り合った。青年は子供の頃から霊感が強く、宗教や霊能力に関する知識が深かった。紘子さん自身は、星占いに興味を持っていたものの、霊能の世界にのめり込むような性質ではなく、合理的な考えかたをする人だ。現実的な紘子さんと、霊能者の青年は、なぜか惹かれあい、ひんぱんに会うようになった。

 紘子さんが青年とつきあうようになって、しばらくたったころ、大天使ミカエルが現われた。
 ミカエルが現われる数日前から、紘子さんは右腕に鈍い痛みを感じていたという。痛みはだんだんひどくなり、明日は医者に行こうと思い決めた日、突然右腕が自分の意思とは関係なく、勝手にぶらぶらと動き始めた。
 驚いた紘子さんは、右腕の動きを止めようと、左手で右腕を押さえた。すると、動きを封じられた右腕が激しく痛む。痛いので左手を離すと、右腕はまた大きく揺れる。そんなことを何度が繰り返した末、紘子さんは右腕の動きを止めることを諦めた。
 勝手に動いている右腕を、驚きと恐怖の入り混じった気持ちで見つめているうち、紘子さんは右腕がでたらめに動いているのではないことに気づいた。腕はあきらかに規則的な動きをしている。じっと見ていると、空中に文字を書いているように見える。もしかして、これはカタカナの“ミ”か……。彼女がそう思うと、腕は今度は別の動きを始めた。これは……カタカナの“カ”……?腕は次の動きに移る。これは……“エ”……?
 こうして、紘子さんの右腕は、空中にひとつの名前を書き記した。
 ミ・カ・エ・ル。

 ミカエルという名前を、自分の右腕が、自分の意思とは関係なく、宙に書いたことを悟った瞬間、彼女は強い恐怖に襲われた。なんだか知らないが、悪霊とかこわい幽霊とか、そんなものが現われたように思ったのだ。
 彼女は、心霊にくわしい、くだんの青年に助けを求めた。彼女は電話で彼を呼び出し、彼は紘子さんの身に起こったことを聞き、その出来事の意味を彼女に伝えた。
 腕が勝手に動いたのは、自動書記というもので、心霊と交信するひとつの手段であること。ミカエルというのは、位の高い天使の名前であること。大変なことが起きたけれど、それは禍々しい、恐ろしいものではないこと……。彼、通称ヒデという名の青年は、理路整然とこれらのことを紘子さんに教え、ようやく彼女の気持ちは恐怖から解き放たれたという。

 紘子さんがヒデと出会ったのは、ミカエルを受け止めるために、彼女には彼が必要だったからだと思う。二人でなければ、この途方もない霊的存在を、受け止めることはできなかったのだと思う。

 自動書記がどういうものかを知っていたヒデは、紘子さんに鉛筆を握らせ、ノートに向かうようにすすめた。右手に軽く握った鉛筆は、たちまち、すらすらとよどみなく、紙の上に文字を綴った。私は彼女の自動書記をそばで何度も見たことがあるが、それはかなりのスピードで、途中で筆が止まることがなく、そして、彼女がふだん書く字の形とはまったく異なる字体だった。
 私は最初、ミカエルの存在も、その現われ方も、どうしても信じることができなかったが、自動書記の文字を見て、疑惑がすうっと消え、これは真実だと思えた。口は偽りを言えても、字は偽れない。人は自分の筆跡を、そう簡単に変えることはできない。
 ノートにつむぎだされる数々の言葉からも、これがまやかしや妄想ではないことが感じられた。かりに紘子さんが精神的におかしくなっていたとして、それらの言葉は、人間の狂った頭からは、到底出てこない。ノートに書かれた文章の内容は、筋道がはっきりしていて、現実的で、知性と深い洞察に満ちていた。何よりも、心の底に強く響く、豊かさと愛が感じられた。
「私、ミカエルの存在を信じるわ。だって、こんな凄い文章、紘子さんに書けるはずないもの」
 私は思わずそう言ってしまった。
 
 
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by fufu6k | 2012-02-20 00:34