陶芸と、星占い、タロットカードを、職業にしています。体験をもとにした、心、魂の世界についてのエッセイです。


by fufu6k
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窓辺のフフ

                       占いのホームページ SPACE・和 


 
 フフは、私が墓地で、父に向かって瞑想をしていた時、光の流れに乗ってやって来た。
 フフの登場を、私はそんなふうに想像した。遊園地のウォータースライダーで遊んでいる子供のように、はしゃぎながら、笑いながら、ものすごいスピードで、フフは地上に降りてきた。

 しばらくの間、私はフフの存在に気付かなかった。
 そういえば、掃除機をかけたり、あれこれ考え事をしながら、部屋を歩き回ったりしている時、空中にごく小さな光を見ることはあったのだ。それは白く、時には青く、一瞬きらっと光って、消えてしまう。
 頭上にほのぼのと温かく、何かおかしなものがいて、そのものが自分を眺めているように感じたこともある。
 でも、そんなことは、すぐ忘れてしまう。私の日常は、占いや陶芸教室の仕事をしたり、陶器の製作に没頭したり、お金の計算をしたり、うまくいかない人間関係に頭を痛めたりすることで、大半が埋めつくされているからだ。

 夏が終わり、秋の虫の声が、家のまわりの草むらから聞こえ始めた頃、突然フフはその姿を現わした。秋の展示会に出品する作品の目途が立ったので、ホッとしてひとりでビールを飲んでいる時だった。開け放した窓から、虫の声とともに、草の香りが漂い、心地よい酔いに身を任せて、私は数分うとうとした。

 そして……。
 コトンというかすかな物音に目をあけると、窓辺に不思議なものがいた。

 雑然と並べてある陶芸作品の間に、足をブラブラさせながら、フフは腰かけていた。その時のフフは、身長が30センチくらいで、まるで人形作家が作った人形のようだった。しもぶくれのほっぺたは可愛かったが、バサバサの髪と細い目は、ちょっとシュールな感じがしたし、薄茶色の瞳は、どこを見ているのかわからない、謎めいた光を帯びていた。

「フフ」
 私の胸の中心から、声にならないささやきのようなものが聞こえてきた。そのささやきと同時に、フフはゆっくりと私のほうに顔を向け、かすかに首をかしげて、今度は前よりも焦点の定まった目で、じっと私をみつめた。 柔らかな薄茶色の瞳は、信じられないほどの強い力を持っていた。その瞳の前では、私の心はガラス張りも同然で、人に知られたくない弱点も、隠しておきたい汚さも、嘘もごまかしも、すべて見透かされていた。

 フフの瞳をみつめながら、同時に私は、自分の心をみつめていた。私の心の透明な部分、柔らかな、温かい部分、曖昧な濁った部分、どす黒い塊のような部分、それらがくっきりと映像のように見えていた。それはけっして嫌な感覚ではなかった。すがすがしいと言ってもいいくらいの冷静さで、私は自分の心を、あたかも別の生き物を見るかのように、眺めていた。

 自分の心の汚さ、醜さを見ても、苦しくならなかったのは、フフの瞳が愛にあふれていたからだと思う。澄み切ったその瞳は、可憐なその姿は、愛そのものだった。

 不思議な感動に包まれて、私は深く息を吸った。その呼吸とともに、フフはにっこり笑ったかと思うと、すうっと消えていった。e0172753_16514864.gif 
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by fufu6k | 2009-02-25 01:19