陶芸と、星占い、タロットカードを、職業にしています。体験をもとにした、心、魂の世界についてのエッセイです。


by fufu6k
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前世について

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 昨今のスピリチュアル・ブームのおかげで、魂は永遠であること、人は何度も生まれ変わることを、信じている人は多いだろう。
 
 人間は、みずからの魂をより良いものにするために、突きつめて言えば、愛というものを学ぶために、時代を変え、場所を変えて、何度もこの地上の生を経験する。人類の平均値として、いったい何回ぐらい生まれ変わるのか、知りたいような気もするが、確実な値を言える人は、おそらくいないだろう。相当数の地上の生を、それぞれの人が経験するのだろうと思う。
 
 今でこそ、前世や生まれ変わりについての話を、気楽にできるようになったが、私が10代、20代を過ごした頃は、世の中に、今のようなスピリチュアルな風潮はなかった。その当時、世の中の中心となって、時代を作っていた世代、我々の親の世代は、ほとんどの人が無神論で、現実的で、死後の世界を否定する考えを持っていたように思う。どうして彼らが、現実重視に傾いたかと考えると、そこには戦争と敗戦が関係しているように思われる。
 
 私達の親の世代は、感受性の豊かな若い時代に、戦争の悲惨さと敗戦がもたらした貧しさを経験している。私は母から、東京が空襲に遭ったあとの話や、着物を農家に持っていって、お米に変えてもらったりと、食料がなくて苦労した話など、いろいろ聞いているが、もし自分がそういう体験をしたらと考えると、身の毛がよだつ。
 
 頭上を敵の飛行機が飛び交い、爆弾が雨あられと落とされ、目の前で次々に人が死んでいく。広島と長崎には原子爆弾が落ち、想像を絶する地獄が出現する。天皇が敗戦を認め、鬼畜米英と憎み、恐れた、アメリカ軍が乗り込んでくる。そういう苛烈な出来事が、息つく暇もなく、次から次へと襲いかかってくるのだ。
 このような状況にいて、それでもなお神の存在を信じられるとしたら、その人はよほど強い精神力の持ち主ではないだろうか。たいていの人は、神などというものは存在しないと、それは人間の弱さが作り出した幻想にすぎないと、心の底から思うのではないだろうか。
 
 首都が焼け野原になり、すべてを失ったところから這い上がっていくとき、神や魂のことを考えている暇はないだろう。聖書に出てくる神は、天からパンを降らせてくれたが、どんなに信心をしても、空中からご飯が現われるわけではない。物がないとはどういうことかを、骨身に染みて知っている、私達の親の世代は、物が豊かにあることこそが幸せなのだと信じた。それは当然のことだ。空腹のつらさを日々味わっていたら、おいしい物をお腹いっぱい食べられる暮らしは、夢のような生活に思えるだろう。
 
 物の豊かさを求めて、私達の親の世代は、高度経済成長の時代に突入する。テレビ、冷蔵庫、洗濯機、クーラー、車……、今ではあるのが当たり前になっている、そうした品々を、私達の親の世代は、ひとつひとつ手に入れ、一歩ずつ、着実に、夢を実現してきたのだ。明日のご飯もままならなかった状態から、わずか20年足らずの間に、日本は、ほとんどの人が家電に囲まれた生活をするようになった。これは驚くべきことだ。この素晴らしい発展は、物とお金が人生に幸せをもたらすという、強い信念がなければ、実現しなかっただろう。
 
 神は何もしてくれないが、お金は幸福をもたらす……。
 
 技術のめざましい進歩は、科学は万能であるという、一種の信仰を生み出す。実際には科学のカの字もよくわかっていない人々が、「○○は科学的である」とか、「○○は科学的に証明された」とかいう言葉を聞くと、納得した顔をする。
 科学の何たるかを知っている、科学者のほうが、よほど謙虚なのではないだろうか。

 神は玉座を追われ、科学がその後釜に座った。
 
 科学は物質を扱う学問なので、物質ではない神や魂や心といったものは、脇へ除けられてしまった。もちろん、どのような宗教にしろ、篤い信仰を持ち続けている人はたくさんいる。しかし、信仰を持つことは、尊敬の対象とはならなくなった。真面目くさって神に祈りを捧げるのは、どこか野暮ったく、お金をかけてお洒落をし、おいしい物を食べ歩き、自由に恋愛をすることが、カッコいい生き方に見えたのである。

 魂は永遠であり、人は何度も生まれ変わるという考えは、迷信とされた。科学万能、物質中心の世の中では、魂というものの存在すら、疑わしいことになってしまう。
 e0172753_0175539.jpg肉体イコール自分自身なのだから、肉体が滅んだときは、自分も消滅する。自分が消える……。なんと恐ろしいことだろう! 私は幼い頃、「死んだら、自分は消える」という考えに取りつかれ、心底怯えた時期があった。死ぬことを考えると、いてもたってもいられないほど恐ろしくなり、必死になって、死を考えまいとしていた。

 父の魂を見て、死後も父は存在していることを知り、魂が永遠であることがわかったが、輪廻転生については、まったく信じていなかった。多くの人と同じように、生まれ変わり、輪廻転生は、迷信だと思っていた。一人の人間が、あるときは日本人になり、別の人生ではアメリカ人になり、中世に生まれたり、現代に生まれたりして、いくつもの人生を送るなどということは、どう考えても馬鹿げた作り話としか思えなかったのである。
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by fufu6k | 2009-03-01 00:35